人形の微笑



「……………クロア」


イリカ国で、家庭教師としてクロアを指導していた頃が懐かしい。


あの頃は、人質の王子と家庭教師として、近くに居られたのに――


「…………っ」


今は、もう。


側にいる事も、声を聞く事すら、簡単には許されない。



「………………はぁ、」



リリスは、溢れそうになる涙をこらえながら、クロアから視線を外した。


そして、


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