人形の微笑



「……っほら、みんな!!今から、バルコニーに出て国民に手を振るんでしょう!?


早く行きますよっ」


その空気に耐えられなくなったリリスは、頬を赤く染めたまま仏頂面で立ち上がった。


それを聞いたクロアが、嬉しそうにリリスの元へ駆け寄り、


その小さな手を取った。


そして、



「…………愛してるよ、リリス」



悪戯っぽくそう言って、リリスの手の甲にキスを落とすと


バルコニーに足を向けた。




< 339 / 343 >

この作品をシェア

pagetop