time-きみの隣で。-
美波は健ちゃんと帰るというので
私は久々に屋上に出てみた。
「はぁー...。」
『愛を教えてやる。』
そう言われたんだよね、ここで。
初めてだった。
嬉しかった。
なのに
「...彼女...か。」
考えてみれば、
翔太はよく手をポケットに入れた。
いつも私の半歩前を歩いてた。
男の人の背中は広いんだと
でも、実際は
彼女がいることを隠すためのことだった。
よくやるよ、ほんとに。
「...バッカみたい。」
そこまで計算して近づいてくるあいつも
そんなあいつに惚れた私も。