君に、この声を。



「すねんなって智那」

「すねてないっ!」



怜が頭を撫でようとしたから、私はとっさに頭を隠した。



「ほんとにウソだって。だって智那、ピアノ伴奏ちょーうまいじゃん」



さらっとそんなことを言う怜。

そんなこと言われたら、私だって照れるじゃん。


その気持ちが顔に出ていたのか、怜は私の顔を見てにやけた。



「なんだかんだ言って照れてるじゃん」

「うるさいっ」



人が気にしていることをずかずかとっ!

ほんとに――……



「デリカシーないとか思ったろ?」



思っていたこと、なんで怜は全部わかるんだろ?

テレパシーか? って本気で思う。


< 101 / 206 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop