君に、この声を。
「すねんなって智那」
「すねてないっ!」
怜が頭を撫でようとしたから、私はとっさに頭を隠した。
「ほんとにウソだって。だって智那、ピアノ伴奏ちょーうまいじゃん」
さらっとそんなことを言う怜。
そんなこと言われたら、私だって照れるじゃん。
その気持ちが顔に出ていたのか、怜は私の顔を見てにやけた。
「なんだかんだ言って照れてるじゃん」
「うるさいっ」
人が気にしていることをずかずかとっ!
ほんとに――……
「デリカシーないとか思ったろ?」
思っていたこと、なんで怜は全部わかるんだろ?
テレパシーか? って本気で思う。