君に、この声を。
4. 運命
「城山智那さん」
ある日の放課後。
部活のまっ最中。
今、私の前にはある人物が1人。
「話したいことがあるんだけど」
楽器を口にくわえたまま、少しの時間、フリーズする私。
まわりはいろんな楽器の音が溢れているのに、私たちの周辺だけ、すごく静かに思えた。
「少しの時間でいいから」
そう言う部長の目は、メガネの奥から鋭く冷たく光っている。
全く私の状況をわかっていない部長は、なにも言わずに廊下の奥に消えてしまった。
私は隣で練習していた同級生に少し抜けることを伝えると、部長が消えた方向へ歩き始めた。