君に、この声を。
「合唱なんかって、何?」
聞き覚えのある声が俺の頭上から聞こえてきた。
智那の声だった。
けど、いつもみたいに明るい声じゃなくて、冷たい氷柱のような声だった。
誰かと、いる。
そう気づいたけど、俺はたいして気にもせずに階段を上り続けた。
でも、そう思っていれたのも少しの間だった。
「そんなに好きなら――どっちかだけにしなさいよ……! 私たちの音楽への思いもバカにしないで!」
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