君に、この声を。
最近は、俺自身、合唱が何なのかわからなくなってきている。
少なくとも、少し前のほうが、合唱を楽しんでいた。
智那が合唱団をやめるまでは――――
そういや、智那がいない音楽室は、何か寂しい。
あのソプラノ特有の少し高めの声が聞こえないだけで、だいぶ音楽室の雰囲気は変わってくる。
智那がいないだけで、音楽室が少し広く感じる。
それだけ、合唱団での智那の存在は大きかった。
それだけ、智那が合唱団を辞めた穴は大きかった。