君に、この声を。



「珍しいね、大葉がボーッとするなんて」



ふいに、隣から明るい声が聞こえてきた。



驚いて首をそっちに向けると、前髪を整えている佐々木さんがいた。

今さっきまで部活だったのか、あるいはこの練習のあとに部活なのか、学校指定のジャージを着ていた。



「いや、そんなことない」

「うっそ。ボーッとしてるよ」



佐々木さんは、自分のカバンをゆっくり俺のカバンの隣に置いた。



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