君に、この声を。



「大葉がそれだけのこと言うのは何かしら理由があると思うんだけど」



何かしらの理由。



それを、目の前にいる佐々木さんは知りたいんだろうか。


俺が、智那を突き放した言葉。

傷つけた理由を。





「智那は、さ。大葉を――――奏太をずっと待ってたよ」






音楽室がだんだん賑やかになっていく中、その言葉ははっきりと聞こえた。



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