君に、この声を。
「あたしもよくは知らないんだけど。智那がよく話してた。幼なじみの奏太のこと」
それを聞いて、転校してきた初日のことを思い出した。
いきなり、とびきりの笑顔で話しかけてきた智那を。
「小さい頃から一緒に音楽してきたらしいよ。でも、奏太は有名な音楽家の父についてためにとう東京に行ったって。それで、奏太が帰ってくるって約束してくれたから、智那はそれをずっと待ってた」
一緒に音楽。
有名な音楽家の父。
東京。
約束。
まるで、マンガの中にありそうな話だった。
そんな話が、智那にはあったんだ。
俺と同じ『奏太』という名前の人と。