君に、この声を。
「何してるの?」
ふいに、聞き覚えのある声が聞こえた。
それを聞いた瞬間、私の中のなにかが一瞬にして凍った。
「クラリネット持ってるようだけど、何してるの?」
赤い細いフレームの奥で光る鋭い目付き。
部長の眉間にはシワが寄せられていた。
「あっ……おはよう。早いね」
「おはようございます。でも、話をそらさないでくれる? 何してるの?」
部長の眉間のシワが、一段と深く、多くなった。