君に、この声を。
「ごめん」
突然、奏太が頭を下げた。
明るい茶色の髪の毛が、ふさとゆれ揺れた。
「あのときはどうかしてた。本当にごめん」
「そんなのいいよ」
奏太に謝ってほしかったんじゃないのに。
自分勝手なのは私なのに。
「だから――」
奏太がゆっくり顔をあげる上げた。
その瞳は、相変わらず真剣そのもの。
「また、智那と合唱団したい」
「ダメだよ」
すぐに言葉を返した私に、奏太の眉毛が一瞬下がった。