君に、この声を。
席は、幸運にも、るなと近くだった。
後ろから2列目。私にとってはいい席だった。
そこに座ると、今まで同じクラスになったことがない人や、去年に引き続き今年も一緒の人とか、いろんな人がいた。
――もう、中学校最後なんだ。
そんな事実が頭の中に湧き上がってきた。
楽しみよりさみしさに近い、でも、悲しみより期待のほうが大きい複雑な思いだった。
「みんなー、席につけー」
るなとたわいない会話をしていたら、そんな声が聞こえた。
声の聞こえどころを見ると、教室の扉から、スーツを着た、見慣れた顔の人物が入ってきていた。