君に、この声を。
体育館を出ると、目がおかしくなるんじゃないかってくらい、まぶしい日が照っていた。
それと同時に、どこかで聞いた事のある合唱曲が耳を通り抜けていった。
その音のするほうを見ると、1人の先生を中心に30人程度の生徒が輪になって歌っていた。
怜も、ちゃっかりその中の1人になっている。
――この曲……『ヒカリ』か。
去年、校内の合唱コンクールで先輩達が歌っていた歌だった。
ソプラノ、フラット気味――。
テノールの誰か、音取れてないな――。
そこはもう少し――。
そこで、俺は気づいた。
彼らの合唱を聞いているうちに、
俺自身が、どこか懐かしい感覚へと引きずり込まれているということを――。