君に、この声を。
崎田先生が指揮をとめ、「今日はこれで終わり」とみんなを見回しながら言った。
そういや、今日の昼休み明けすぐの授業が体育のクラスがある。
先週も、すぐに体育の授業がある日は準備のために早めに切り上げていた。
ざわざわと音楽室に話し声が溢れ出し、ドアから続々と出て行く。
「奏太ぁ行こうぜー」
怜が俺の腕を掴んでドアに向かう。
俺は少しバランスを崩したものの、すぐに立て直した
――ときに、視界の片隅にあいつが映った。
永岡るなに何かを言いながら、悲しそうにうつむく智那が。