14個の君の物語<短編集>
ぎゅっと握った手のひらをゆっくりほどく
「お母さん、あたし…」
ボロボロとあたしの目からも涙がでた
母はあたしに寄り添いぎゅっと抱きしめた
「……あったかい…」
母の身体はあったかかった
でも小さくも思えた
「……ねぇ、あなた。
あたし達やり直せないかしら…?」
母はあたしの頭を撫でながら
ゆっくりと父に言う
久しぶりに見た父の顔は少し老けていた
けれど目には少しの涙を湛えていた
あたしは此処に居るよね?