色彩― シキサイ ―
「先輩…」



「ん?」



「先輩は、シロですね」





……


………シロ?


あだ名?


いやでも俺の名前“青木翼”だし。


クラスの連中からは



“アオ”



って呼ばれてるし。





「先輩は、私とは真逆の色をしています…」



「真逆の…色?」



「はい。


私は、何も写していない“クロ”


先輩は、どんな事にも耳を傾ける優しい“シロ”」





黒は、どんな色を混ぜたとしても、全てを真っ黒に染めてしまう。



だけど白は、たとえどんな色でも受け入れて、自分の色に変えていく。




同じ色でも、それぞれの役目は全然違う。





「先輩…私、先輩の綺麗な色を、汚したくありません」





男臭くなくて、純白な…



西洋の王子様のような先輩の色を、


私のどす黒い色で染まって欲しくない。



だから、





「私の事は、忘れて下さい」







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