しーくれっと!
握手を交わして手を離せば、輝夜さんは携帯をとりだした。
電話でもするのかな?と思いながらお茶を飲みながらそれを眺めていれば、輝夜さんは「瑠花ちゃんの携帯って赤外線使える?」と言って携帯画面から顔を離した。
「へ…?」
「赤外線。使える?」
「せ…赤外線って…な、何ですか?」
「……」
私の返答が、予想外だったのだろうか。
輝夜さんの動きが止まる。
「ぁ、ごめんなさい。私携帯に興味がなくて…、仕事するのに
無いと不便だからって持ってるだけなんで、ほとんど操作方法とか分かってないんです…」
流石に恥ずかしくなって、行き場をなくした視線を携帯が入ったままであろうトートバッグにうつして、それに手を伸ばす。
ホントは携帯だけじゃなく、娯楽品事態に興味がないのだが…。
そこまで言う必要はないだろうと判断して、私はバックの中からふたつ折りの携帯を取り出した。
「そうだったんだ、…んー。ちょっと携帯借りていい?すぐ終わるから」
そう言われて携帯を輝夜さんに手渡せば、輝夜さんはカチカチと携帯を操作して互いの携帯を向き合わせたかと思うと、直ぐに私の携帯を返してきた。
そして、それと同時に洗濯から乾燥までが終了したであろう音が響いてくる。
「やっと終わった。服取ってきますね」
携帯を脇に置いて、私は洗濯機のある洗面所へと向かった。