しーくれっと!
出会い
20××年、東京某所ー…
とある町に、私の家はあった。
1Kの、小さなアパート。
少々狭いが、家賃の割りに小綺麗で駅からも近く立地がいいそのアパートを、私は結構気に入っている。
なんたって、幼い頃から夢見た念願の一人暮らし。
誰にも頼らず、誰に迷惑をかけることなく生きていく為の私の大切な場所だ。
物心ついたときには、すでに私は施設にいた。
何で自分がそこにいるのか知らないし、知る気もなかった。
ただずっと思っていたのは
高校を卒業して、早くここを出る。
それだけだった。
私がいた児童施設は、高校まではそこに居させてもらえる。
けれど、高校を卒業すると
問答無用で施設を出されることになる。
それを分かっていても、早く出たいという気持ちは消えなかった。
だって、私は施設が嫌いだったから。
檻のような、あの場所が。