しーくれっと!
「ぁ…っぇと…、助けになったのなら良かったです」
「車に戻ろうとしたのに酔っぱらいに絡まれて、内心どうしようか悩んでたからほんとに助かったよ」
そうニッコリと柔らかい笑みを浮かべた男性の表情に頬をほんのりと赤く染めた私、けど、そこで彼の服が濡れていることに気がついた。
「あ、服…!」
「ぇ?あぁ…。気にしないでよ、すぐに乾くし」
先程、酔っぱらいにかけた炭酸ジュースが、どうやら彼にもかかっていたらしく
彼のTシャツが広範囲で濡れていた。
「そんなわけにはいきません!今時間ありますか?私の家直ぐ近くなんで寄っていってください!」
「へ、ぁ…ちょ…っ」
女の子の家に上がるわけにはいかないと、必死に遠慮する彼を無視して、私は彼の手を取り問答無用で自宅までの道を急いだ。
×―――×
「その辺に座っててください」
ポカンとした様子で、部屋の入り口にたつ男性に座るよう促してから、私は替えの服を探すためにクローゼットを開けた。
勿論男物なんて持ってはいないから、自分が持っているTシャツの中で一番サイズの大きなものを手にとって男性に渡した。
男性は「ありがとう」といってTシャツを受けとる。