桜の木の下で【短編】
彼女が着いたと同時にバスの扉が開く。
思わず僕は彼女の手を取りバスに乗った。
彼女は少し驚いている様だったが、かまわない。

こんな時は少しくらい強引でもかまわないのだ!!

僕は勝手に心の中でつぶやいた。


彼女は席に着くやいなや僕の顔を見た。
潤んだ瞳。
そうだ、そうこの不安な表情がたまんなく可愛いのだ。

そんな彼女を見つめて、僕は一言「このまま終点まで行く。」
僕は彼女の手を握ったまま無言でバスに乗っていた。

一度だけ彼女が手を強く引き離そうとしたが、僕は彼女の手を握り、決して離さなかった。
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