桜の木の下で【短編】
一年後

あれから一年。


僕達は高校を卒業し、彼女は大学へ入った。

僕はバイトをしながら一人暮らし
何とか食いつないでいる日々だった。



学校が終わると、彼女は実習で作ったというシュークリームを持って、僕の家までやってきた。

箱をのぞくとシュークリームが白鳥になっているではないか
僕はシュークリームを一つ手に取り「何このトリ?」って彼女に聞いてみた。


分かってはいたが、彼女に説明してもらいたかったから


彼女は笑顔で「スワン、白鳥なんだよ。カワイイでしょ」って

「おまえがカワイイよ」
なんて心の中で言いながら一口。



「んっ!?うまい」
一言だけ言い、食べ続ける。
この一言で彼女はごきげんだ。


実は僕には少し甘すぎたのだが、彼女の笑顔を見るためなら甘さなんて気にならないのさ。

彼女は前髪をかきあげ、少し照れくさそうに笑った。
そうだ、このハニカミ具合が良いのだ!!
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