桜の木の下で【短編】

5年前

僕

僕が彼女に出会ったのは 5年前。
まだ高校生の頃だ。


僕は毎日、バス停から学校まで5分の距離を歩く。
彼女はいつも自転車で追い抜き際に「おはよう！！」と声をかけてくれるのだ。
僕はそれが楽しみで、いつも同じ時間のバスに何が何でも乗るのだ。
寝坊したって、それは変わらない。
急いで着替え、ネクタイを片手に靴もしっかり履かずに慌てて家を飛び出す。

そんな日でも、彼女はちゃんと、いつもの時間に僕の横を通り過ぎる。