桜の木の下で【短編】
「桜ヶ丘」これが僕の降りるバス停

「次は桜ヶ丘、桜ヶ丘」運転手の声がバスの中に響く。僕は「降ります」のボタンに手を伸ばす。

押そうとした、その瞬間

ピンポン

「次、止まります」と運転手の声
「くっそう、押された」心の中で舌打ちをした。
何気ない、この行動が楽しみだったのに。
誰よりも早くボタンを押すのが僕の朝の日課なのだ。
なのに今日は、、、
いつもと違う。
違和感を覚えながらバスを降りた。

そこに後ろから自転車の気配がした。
「彼女かもしれない」そう思ったのだが振り向かず、いつもと同じように歩いた。
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