明日があるまで
最後に。
俺を普通な目で見てほしかった。
そんなひとが1人でもいれば
もう少しがんばろうと思えたのだろうか・・・?

---ガラガラ

少し重い診察室の扉をあける。

「先生・・・」
俺が先生と呼ぶのはこの人しかいない。
佐藤先生。
もう、30歳後半になるのか・・・?
そんな風には見えない若々しくてきれいな人だ。
俺が小学校3年生のころからお世話になっている。
「颯太君・・・?」
俺は気付かないうちに涙を流していた。

「先生・・・俺のッ余命はッ後どのくらいですか・・・?」
「何度も言うけど。颯太君・・・。あと。半年なの。」
「・・・そうですか」

それだけ聞いて。
俺は診察室を出た。
涙できっと顔は見せられないものになっているだろう。
それでも、まわりは俺を見てくる。

こんなに、涙が流れているのに。
こんなに、ドキドキして。
こんなに、悲しいのに。

あと、半年で俺はここからいなくなる?
そんなこと考えたら。
もう。自分の存在が嫌になりそうだ・・・


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