明日があるまで
運が悪かった。

そうとらえばそうかもしれない。
運の悪い夫。
身体が悪い息子。


だめだな・・・。
俺は。
もっと早く気づいていれば。
助けられたかもしれない。
大丈夫。
そう一言いえたら・・・


その時から。
俺を見る周りの目は変わった。
入院費は払えないから無理やり退院した。
まぁ、学校ではずっと保健室に居たが。

高校になったら自分の体を壊してでも働こう。
俺がいなくなってもだれも悲しむことはなくなった。

だが・・・。
「颯太君・・・。学校どうするの?ここ来る?」
施設に入れるのは可哀そうだと親戚が決めて、顔も名前も知らない親戚の家を転々としている。父親の親戚とも仲が良かった。まぁ父親には会わなかったが。
その時は母親の姉の家に居た。
藤崎さん?と言ったっけな・・・。70半ばの人で俺に親切にしてくれた。

「学校なんて考えてないんで。」
そう言ったが。
「大丈夫よ。私の知り合いが理事長なの。」
「そうですか・・・。でもっ」
「お金は大丈夫。私たちが出しとくわ。」
藤崎さんは夫婦の2人暮らしだった。
年金暮らしだと思っていたが藤崎さんの旦那さんはけっこういいとこの人だったらしい。
これ以上つっこまれるの嫌だったので。
とりあえず通うことに決めた。
櫻井がいる【慶琳第一高校】に。







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