明日があるまで
✳水族館✳

#会う口実

誰かに呼ばれた。
でも俺は振り向かなかった。

声が知らない声だから。
別に誰か気になるなんてことはない。

「ねぇ。朝倉君だよね?」

---チッ

めんどくせ。
「何?何か用?」
そこに居たのはやっぱり知らない奴。
一般の女と比べるとまぁまぁ顔はいい方か?
「あ。私の事知ってる??」
完全に知らない。
「しらねぇーけど。」
そいつは驚いた顔をした。
お前そんなに有名なの?
「私。橋本加奈って言うの!」
「あ。そう。」
「・・・あっ。どっか行くところだった??」
「あぁ。」
だから、早くどっか行け。
「どこ行くの?ついて行っていい??」
は?まじでめんどくせぇ。
俺の嫌いなタイプだ。
なれなれしい奴。
「朝倉くんってやっぱり、かっこいいよね!!」
やっぱりってなんだよ・・・。
「あ。私たち一回会ってるんだよ!」
「え?」
あ。やべ。今本性だしそうになった。
「覚えてるかなぁ?学校のね昼休みに窓越しで。」
あ・・・。櫻井の隣に居た人だ。
「わかった。」
「ほんとっ!?うれしぃ――!!覚えてくれてたんだ!!」



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