それぞれの物語
前の状況と全く同じだ。店の外で寒空の下私を待っている隆の姿。
「そんなところにいつまでいる気よ。早く帰るわよ」
慌てて後をついてくる隆の姿に思わず笑みが零れた。
「話は友里絵からたっぷり聞きました」
コーヒーを口から吐き出しそうになり、むせた。
「なに慌動揺してるの?」
「ゆ、友里絵にどこまで聞いたんだよ!!」
ゴホゴホとむせながら言った。
「?他に好きな人ができたんでしょ?この間はそんなこと言ってなかったじゃない」
まったくもぅ~ココアをずずっとすする。
隆は崩していた足を正座に直し、私と向き直った。
「その…好きな人なんだけどさ」