片想いデビュー【完】
『じゃ…そういうことで…これは事故ってことで、あんたも運が悪かったね』
ヒラヒラと手をふって後ろの車両に進むイケメンの後姿が、
『じゃ、そういうことだから』
そう言った上村先輩の後姿と重なる。
その瞬間、
私の瞳からは、ポタポタと涙がこぼれ落ちていた。
『っ…ヒック…フッ…』
後から後からこぼれ落ちる涙は、頬を伝っていく。
乗客も皆、怪訝そうな表情で私を見つめていた。
…もう…イヤ…
そう思った時だった。
『はぁ〜…何で携帯壊れたくらいでボロ泣きしてんのさ…オレが泣かせたみたいじゃんか…』