片想いデビュー【完】


『じゃ…そういうことで…これは事故ってことで、あんたも運が悪かったね』



ヒラヒラと手をふって後ろの車両に進むイケメンの後姿が、




『じゃ、そういうことだから』



そう言った上村先輩の後姿と重なる。




その瞬間、



私の瞳からは、ポタポタと涙がこぼれ落ちていた。



『っ…ヒック…フッ…』



後から後からこぼれ落ちる涙は、頬を伝っていく。



乗客も皆、怪訝そうな表情で私を見つめていた。



…もう…イヤ…



そう思った時だった。



『はぁ〜…何で携帯壊れたくらいでボロ泣きしてんのさ…オレが泣かせたみたいじゃんか…』




< 14 / 69 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop