才能のない作曲家
日本で僕はどんな言われようなのか。
ここへ来る前の夜、電話をかけた親友の声は冷たく、
あぁ、もう終わりは始まっているのか――などど思ったものだった。
そもそも、僕はそんなことをしてはならなかったのに。
いつの間にか僕は、マトモな人間になってしまっていたらしい。
君からの通告を受け止めながら、
それでも誰かにわかってほしかった。
誰かに、『僕が望んだ答えではない』と、言いたかった。
ほかの誰に理解されなくてもいい、誤解されてもいい、疑われてもいい、どんな風に罵られてもいい。
人生で初めて、僕を受け入れてくれた親友に、
僕は全てを打ち明けようとしてしまった。
それは僕の弱さで、僕の脆さ。
僕の浅はかさ。
君が守ろうとしたものを、僕はこの手で壊してしまうところだった。