【短編】隣にいる君が
私はおもむろに着ていたカーディガンを脱ぎ、
シャツのボタンを外し始めた。

「じゃぁさ、エッチしよーよ!・・・ね?」

でも酔っ払ってきたせいか、
うまく指先が動かずボタンが外れない。


「私さ、胸はないけど、形いいって言われるんだー」


へらへらと笑いながら、あれ?あれ??ちょっとまってねー、と独り言を言いつつ、
ボタンを外そうとしていたら
ケンちゃんが私をベッドに押し倒した。
乱暴に口付けされそうになって、思わず「イヤッ」と払いのけようとするけれど、
男の人の力には勝てず、怖くなって頬に涙が伝った。

するとケンちゃんは起き上がり、「やるか、ばか」そっぽを向き言った。


「自棄でやるような女とはしねーよ、ばーか」

「・・・」

「俺だってな・・・ちゃんと・・・遠野と・・・もう、バカが」

「・・・もう、バカバカ言わないでよ」

「いいから早く服着ろっ!帰れ!送るから」


私は慌ててボタンを留め、カーディガンを羽織る。


酔いは冷めてしまった。
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