チッサイ、オッサン
そこには。


頭から血を流したオッサン、ではなく、額に汗をかいたオッサンの姿が目に飛び込んできた。


一つしかない俺のコーヒーカップの中で、チャプンチャプンと……。


「きゃあぁあぁぁー!!」


とうとう俺は女子みたいな甲高い悲鳴をあげてしまった。


これは相当な無念だ。


いやしかし、そんな俺をムンクと呼びたければ呼べばいい。


この瞬間、俺はきっとムンクだったに違いないだろうから。


「はっ!?」


間髪入れずに今度は流し台の上に置かれた物が無理やり視界に入ってきた。


< 17 / 216 >

この作品をシェア

pagetop