チッサイ、オッサン
だって、オッサンが首を横に振っているんだもん。


どんどん薄まるオッサンをただただ見詰める俺。


もうほとんど見えなくなった腕で、最後の力を振り絞るみたいにギューッと首を抱き締めたまんま、とうとうオッサンは完全に消えてしまった。


俺は確かめるように、オッサンの感触が残る肩に手を置いてみた。


オッサンがいそうな場所もキョロキョロ見渡した。


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