チッサイ、オッサン
「ふーん」


ずっとうんうん聞いていた近藤が、腕を組み神妙な面持ちで考え込んでいる。


「……もしかして」


なにかを言いかけてピクンと反応した俺を見ると、またすぐに黙ってしまった。


「な、なに?なにかわかるの?なんでもいいから教えてくれ!」


わらにもすがる思いの俺は、必死にテーブル越しの近藤に詰め寄った。


「驚かないでちゃんと聞けよ?これでも俺は寺の息子だからさ」


「も、もちろん!ちゃんと聞くよ!」


意を決したように組んだ腕をほどいて、テーブルに両ひじをついた近藤が話し出す。


「それって」


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