チッサイ、オッサン
その場にフリーズした俺を無視して、オッサンはプイッと顔をそらすとスクッと立ち上がった。


たっ、たたた、立った!?


そして腕を後ろで組んで、一歩ずつ踏み締めるようにゆっくりと歩き出す。


トコ、トコ、トコ、トコ。


あっ、あああ、歩いた!?


いっぱいに開いた目だけで姿を追っていると、急にビタンッとオッサンが立ち止まった。


つい一緒に俺の体もビクンッと反応してしまう。


するとなにを思ったか、そこから振り向きもせずテレビの方に向かって猛ダッシュし始めた。


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