【掌編集】魔法使と少年少女。
「……クロウ」

「責任は取るよ。僕と一緒に第七に行こう。人のいるところまでルルゥを送り届けるつもりだったけど、第七ならルルゥのその能力の使い方を教えてくれるはずだから」

「………」

「怖がらないで。君が傷つけるものは僕が治すから大丈夫だよ」

「!」

 今のルルゥにとって一番ほしい言葉だった。
 扱えない力が誰かを傷つけるのが怖かった。だがクロウならば。クロウがいれば、先ほどのように一瞬で傷を癒してくれるだろう。
 ルルゥはクロウの体にすがりついて、恐怖をはらうかのようにぎゅっと目を瞑った。
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