歌姫はギタリストに恋をする゚*。
「家はどうするんですか?家もその人に売っちゃうんですか?」


確か、自宅と酒屋は一緒だったよね…?





「家はそのまま私たちのものよ。譲るのは店だけ。せっかく慶が建ててくれた家ですもの…簡単には売れないわ」

「だから別荘感覚で、たまに長い休暇が取れたら帰ろうかなって思ってるよ。家の手入れも、店を譲る親戚がやってくれるって言ってるからさ」

「老後は…あの家に住めたらいいなって思ってるわ。ただ今はね‥慶のそばにいたいの」


沙知絵さん…


慶のこと心配なんだね……






「東京で、俺の同級生が酒のメーカーで働いててさ…商品開発部の方なんだけど、コネでその会社にはいれそうなんだ…」


浩司さんが、お弁当をほおばりながら言う。




「あ、そうなんですか?」

「うん…結構やりがいのある仕事らしいし、俺も酒のことなら少しは知識はあるしさ…ぴったりかなーと思って」


そうだよね。

元々は、浩司さんの実家が酒屋さんをずっとやってて、

それを今は浩司さんが受け継いでたんだもんね。


小さい頃から、お酒に囲まれてたんだもん…

お酒の会社なんて、ぴったりだよ。





「酒屋のお店も手放せたら…私も手が離れるし、慶のお世話に集中できるでしょ?」

「…そうですよね」


沙知絵さんが慶についててくれれば…

私も仕事で来れなくても安心だな…
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