MFNゲノム
「これくらいでいっか。」
図書館の本を3冊ほど取り終えた俺は、そうつぶやいた。
チエのレポート通り、俺は作品の成立年月日、初めて掲載された雑誌名などをワードに打ち込み始めた。
見つけてきた本の中から、自分の意見と合致するところを引用しながら、作品の分析を行っていった。
チエは相変わらず、作者の異常性をテーマに書いていたようだが。
すべて終わって、データをUSBに移して、図書館情報室のプリンターで印刷するころには、時計が12時を回っていた。
「終わったよ。飯食いに行こう。」
そう言って俺はチエを起こした。
「んー。肩が痛い…」
まだ眠そうなチエをひっぱって、学食へ連れていった。
「けっこうかかった?」
半分ほど目が開いてきたチエは、歩きながら俺に尋ねた。
「モトネタが悪いから、ほとんど修正作業ですわ。」
「もー!今度から絶対見せない!」
寝起きのチエのテンションでは、冗談に聞こえなかった。