MFNゲノム
1.告白
「チエ、俺たち付き合わないか?」
不思議なくらい、言葉がすんなり出た。
そして、YESの答えのみを期待する、NOだったら心臓がはり裂けそうになる待ち時間の感覚を、俺は全く感じずにチエを見つめていた。
「エッ!?」
時が止まったように固まるチエを、俺はスクリーン越しにでも見るように眺めていた。
その時間が、2人には永遠にも長く感じられた。
ということは全くなく、ジャスト10秒でチエは答えた。
「私でいいの?」
「うん。お前以外誰いるんだよ。」
そう答えた俺の頭には、有名ドラマのワンシーンがよぎっっていた。
「うん。いいよ。」
いいよ、の部分からビブラートをかけて、チエは答えた。
そしてファミレスの紙ナプキンを、目尻にあてがっていた。
人生で一番緊張しない告白だった。