MFNゲノム
「これから警察に追われる身となる訳ですが、覚悟はできていますか?」
アキヒロはチエにマイクを向けるように聞いてきた。
控え室が沸いた。
「え、えーと。そのー。」
言葉に詰まるチエに業を煮やして、俺が答えた。
「えー、その件ですが、昨日の夜で事件は時効が成立しておりますので、目下の心配は彼女が私から逃亡しないかということだけですね!」
また控え室がどっと沸いた。
チエも笑っていた。顔はまだひきつったままだったが。
しかし、これくらいの返しに詰まるチエだったかな。
まあ昨日の今日で、自意識過剰かも知れないが、浮かれていてうまく言葉が出てこなかったのだろうか。
一通り、質問は終わっていた。