MFNゲノム


「ちょっとお手洗い…」


そう言って、チエは席を立った。

ショウコとのことが知られたのはしょうがない。
いずれ話すこともあったろうし、何より今は友達、少なくとも回りはそう思ってるわけだから。


俺が席を立つチエに後悔したのは、アキヒロとマリコの後に、俺が一言
「そうだ。もうただの友達だよ。」
と言わなかったことである。

新たな懸念が増え、ショウコとチエの2人が俺の心臓の鼓動を早めていると、チエが戻ってきた。


「さあ、食べよ!食べよ!」

戻ってきたチエは、またあの最初が響く声になっていた。
明らかに、さっきまでとは様子が変わった。


それからチエはさっきまでのテンションとはうって変わって、しゃべる数も増えた。

あのテレビを見る時にMAXだった俺の頭痛は、この時初めて兆しを見せていた。
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