MFNゲノム


「ピーッ!」


できたてのコーヒーをマグカップに入れ、口につけながら時計を見た。

図書館は9時からだから、あと30分くらいで出ればいい。
シャワーを浴びる時間もある。


俺は飲み終えたカップに水を注いで、服を脱いだ。

シャワーの水流が頭痛のビートと重なって、しばらくすると目が開いてきた。
これでいい。いつものモーニングパターンだ。


体を拭いて、ドライヤーを当てると、出発の時間になった。
ショルダーバッグの金具が当たって軽く舌打ちをしたところを、誰かに見られていないかと余計な心配をして、俺は自転車にまたがった。


通学中の高校生と気まずいツーリングをしながら、寄り道もせず正門から入っていった。


時計を見ると、9時20分。
これくらいは体内時計の時差として認められている。


チエのチャリンコを確認し、横に止めてから、俺は図書館の自動ドアをくぐっていった。
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