MFNゲノム
「頭、大丈夫?」
勤勉学生1号は、失礼な心配をしてきた。
「おまえよりはな!」
「そうじゃなくて、まだ痛いの?」
「少しね…でも字が打てないほどじゃない。」
「そっか、じゃあ3コマまでせいぜい頑張れ!私は少し、寝る。」
そういうとチエは机の上のノートパソコンをこっちに向けた。
画面には、すでにワードが開かれていた。
教授は、形式にうるさい。
レポートは決まった形で書いてこないと、書き直させる。
チエは、内容はともかくそういう形式はしっかり押さえるから、
形式が苦手な俺は、書き方だけを参考にするつもりだ。
俺はまずは黙って、ワードをスクロールして読んでいった。
「シュウヘイの横顔って、シスチルの桜木さんソックリだよね。」
手を枕にして机に伏せているチエは、寝る前にそうつぶやいた。
何回言うんだそれ。
そう心で唱えながら、俺は黙って目の前のMS明朝体を熟読していた。
初めて会った時からそれだったな…