MFNゲノム
「シュウヘイ!見せてあげなよ。プッ。」
マリコは笑い混じりにそう言って、俺を急かした。
俺は財布から学生カードを取り出し、チエに見せた。
「出たー!犯罪者!」
「絶対、人殺してるよね!この人!」
マリコとアキヒロのバカ笑いにつられ、チエもふきだした。
「でも、横顔は桜木さんですよ。プッ。」
満面の笑みで言ってもフォローにはならない。
「おい、シュウヘイ!なんで黙ってんのよ?怒っちゃった?」
「今、このまま進路変更して、お前らを森に埋めてやろうかって考えてた。」
車内はまたふきだした。
やりなれたこのやりとりが、来たばかりのチエには新鮮だったらしい。
チエは、孤独だった。