経験なくっちゃダメですか!?
「まだもう少しやりたいな」

私の頬を両手ではさんで、眉をじっと見つめている。


「もっと?」

「まだ足りない」

「痛くしないでよ」


バタバタって、廊下を走る音がする。

なんか、うれしそうな声もしてるんだけど。

「何だろ?」

「このクラスの女子」

「ふーん」

・・・

「明日には俺とおまえ、公認のカップルってやつ?」

「はい?」

「さっき、ハサミとか買いに行った帰りさ、ここの女子に会ったから、覗くなって言っといたんだよね」

「はぁ」

「ちょっと佐緒里といいことするから絶対見ないでって」

「・・・」

「さっきから女の子たち廊下で聞き耳たててたけど、絶対俺ら、いいことやってると思ってるよね」

「わざと・・・すか?」

にっこり笑ってる。



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