好きになっても、いいですか?
引き寄せられるように、そっと。
理由なんてない。
それは2人とも同じだった。
震える手を、上から重ねていた純一の手はいつの間にか手のひらをくっつけるように。
次第に指を絡めるようにして、お互いに手を取る。
必要以上に付けていない部屋の照明が、薄らと麻子を照らしている。
純一は、そんな麻子の瞳から目を離せずにいた。
――――そして、一瞬。
麻子と純一の唇が重なった。
その一瞬は、2人の中で、確かに何かを残す。