好きになっても、いいですか?
「では、このようなスケジュールで」
敦志が確認して、それを純一に渡す。
丁度内線が鳴る音が聞こえてきて、麻子は隣室へと出て行った。
「――何か、あったんですか?」
「……いや、何も」
「そう、ですか」
敦志が2人の空気の微妙な違いに気が付いて聞いてみるが、純一にさらりとかわされてしまう。
しかし、純一の心の内はそんなに落ち着いているものではなかった。
自分の気持ちが整理できず、また認めたくない思いもある。
“女”は信用できない――。
それは自分が歩んできた過去に散々思い知らされたこと。
それでも、彼女なら――。
そういう葛藤を胸に、純一は明らかに麻子の存在に翻弄されていた。