好きになっても、いいですか?

「おはようございます、純一さん」


少し高めの声で、爽やかにそう言いながら通されたのは城崎雪乃(しろさきゆきの)。

ふわふわしたスカートに、シンプルなアンサンブルを合わせた服装。
緩くウェーブがかった髪は、自然な茶色でいわゆる天使の輪を輝かせて靡かせている。

名前の通り、雪のように透き通った白い肌に、折れてしまいそうな手と足。
細い首筋には、小さな石のついたネックレス。

ふと、そのネックレスに気が付いた麻子は自分の首元を確認する。


(ネックレスが、ない―――)


そんな麻子に笑顔で会釈すると、雪乃は純一の元へと歩み寄る。


「雪乃ちゃん、何かありました?」
「えぇと……」


純一の対応を見ても、大切なお嬢さんだということがわかる。
そして雪乃は純一の質問に、答えづらそうに、麻子と敦志にちらっと視線をやった。


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