好きになっても、いいですか?
――ガチャリ。
普段来客などないこの課の扉が、昼時にも関わらず大きな音を上げながら開いた。
泰恵も鈴木も、勿論麻子も、不意に開いた扉の方へと目を向ける。
「招待状はどこだ」
庶務課の小さなドアのすれすれまである長身の男は、麻子に真っ直ぐと歩み寄ってきて、不躾な態度でそう聞いた。
3人はそんな横柄な態度で、今目の前に立っている人物が“社長”であることに気付くのはそう時間はかからなかった。
(――――藤堂純一(とうどうじゅんいち))
麻子は、先程確認した社内報の紙面を思い出して心で呟いた。
「――藤堂社長、お疲れ様です。その、招待状とはなんのことでしょうか?」
麻子は驚きはしたものの、15階で会った時のような失礼な態度と物言いに、内心カチンときながら、冷静に返答した。
「午前中、上のフロアで散らばってただろう。その中の一枚だ」
「申し訳ありませんが、私にはわかり兼ねます」
「お前……!」
「拾った書類は全てお渡しましたし、あの後フロアを見ましたが、何ひとつ落とし物はなかったです」
普段来客などないこの課の扉が、昼時にも関わらず大きな音を上げながら開いた。
泰恵も鈴木も、勿論麻子も、不意に開いた扉の方へと目を向ける。
「招待状はどこだ」
庶務課の小さなドアのすれすれまである長身の男は、麻子に真っ直ぐと歩み寄ってきて、不躾な態度でそう聞いた。
3人はそんな横柄な態度で、今目の前に立っている人物が“社長”であることに気付くのはそう時間はかからなかった。
(――――藤堂純一(とうどうじゅんいち))
麻子は、先程確認した社内報の紙面を思い出して心で呟いた。
「――藤堂社長、お疲れ様です。その、招待状とはなんのことでしょうか?」
麻子は驚きはしたものの、15階で会った時のような失礼な態度と物言いに、内心カチンときながら、冷静に返答した。
「午前中、上のフロアで散らばってただろう。その中の一枚だ」
「申し訳ありませんが、私にはわかり兼ねます」
「お前……!」
「拾った書類は全てお渡しましたし、あの後フロアを見ましたが、何ひとつ落とし物はなかったです」