好きになっても、いいですか?
麻子がコピーしたものをまとめ、椅子に掛けている敦志がそれを留める。
パチン、パチンという音が響いて、暫く沈黙が続いていた。
麻子は自分のしたことに、敦志までも巻き込んだことを反省しながら手を動かしていた。
(早乙女さんは優しいから、怒りはしないけど……今、何を思っているのかな……)
麻子が最後の束を、手にまとめた時だった。
「貴女は、本当に魅力的な女性ですね」
敦志が視線を手元から外さずにそう言った。
今まで麻子は近寄りがたい雰囲気から、周りに敬遠されがちな存在だった。
だから、そんな風に真正面から褒められたことなど――しかも、男性になんかない麻子は思わず固まってしまう。
パチン!と敦志は前にある用紙をホチキスで留め、麻子の手にある最後の用紙を受け取ろうと麻子を仰ぎ見た。
そして、少し目を細めてぽつりと言う。
「惹かれる理由がわかります」